睡眠時無呼吸症候群を治療しなければ、「心臓病」「脳卒中」「交通事故」を起こす危険性が高まります。
睡眠時無呼吸症候群は、読んで字のごとく「睡眠時」に「無呼吸」状態になる病気です。英語ではSleep Apnea Syndrome(SAS)と書きます。
「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上または7時間の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
「無呼吸=息が出来ない」ので死んでしまうのではないか?と思われがちですが、実は、この無呼吸自体で、死んでしまうことはありません。
むしろ、無呼吸がつづくことで体に負荷がかかり生活習慣病(高血圧や心疾患など)になることや、記憶に新しい新幹線のオーバーラン事件に代表される、昼間の眠気による事故(交通事故、労災事故)に関係するため、ご本人だけでなく社会的にも問題となるのです。
このほか、代表的な自覚症状は以下です。
アメリカで行われた研究で驚くべきデータが出ています。1時間当たりの無呼吸数が20回以上の重症の方は、無治療のままで放置すると9年後には心臓病、脳卒中、交通事故などの原因で10人に4人お亡くなりになっていたというのです。軽症の方と比較してもその差は歴然です。
また、正常な方と比較して、SAS患者さんは、高血圧は2倍、心疾患3倍、脳卒中は4倍、糖尿病は1.5倍発症する可能性があがるといわれています。
交通事故については、飲酒している人より重症のSAS患者さんのほうがハンドル操作ミスが多いというショッキングなデータもあります。
日本でも平成13年度の道路交通法改正で、眠気を訴える疾患に罹患していて、治療を受けていない方には運転免許の発行、更新をしないことになりました。
怖いことを書きましたが、SASはしっかり治療すると無呼吸がなくなり、生活習慣病や眠気などの症状もきちんとコントロールできます。この疾患は特殊な疾患ではありません。
有病率は人口の4%と言われており日本には200万人いると言われています。
しかし、なかなか気がつきにくい、いびきをかく程度で受診するなんて恥ずかしいと言う理由などで、まだまだ治療を受けている方が少ないのが現状です。
世界中でSASに対して効果が立証されている治療法がCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法です。
イラストにもあるように鼻マスクを装着して、鼻から気道に空気を送り込む療法です。
いわば、送り込まれた空気が塞がってしまう気道を支える添え木の役割をするわけです。もちろんこのCPAP装置は夜間寝ているときのみ使用します。
空気を送り込む圧力は患者さんの閉塞の度合いによって異なります。
適切な治療をすれば、睡眠時無呼吸症候群による症状は改善し、病気による問題点も改善されます。快適で安全な生活を送るために適切な治療をうけましょう。
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